ラデツキー将軍は緑色の瞳でジッと私を見つめていた。
もしかして的外れなことを言ってしまったのではないかと内心焦っていると、彼は黙ったままベンチから立ち上がり、私の頭の上に軽く手を置いた。
「あなたがもし軍に入りたいと願うときがきたら、私に言うといい。私の側近の部隊に置いてやろう。……もっとも、その細すぎる身体を鍛えてからだがな」
そう言い残して立ち去っていったラデツキー将軍の後ろ姿は、背筋が伸びて胸を張った堂々としたものだった。
夕陽に染まったその姿を眺め、私の胸は少しだけ安堵を覚えた。
中庭から戻り急いで執務室へ行くと、部屋の中にはゲンツさんしかいなかった。
「メッテルニヒのやつなら本宮殿に言ってるぜ」
窓の近くの机で書き物をしながら、ゲンツさんはそう言った。
「そうですか。じゃあ、本日の議事録、机の上に置いておきますね」



