「それは分かりませんよ。私はマクシミリアン王子に希望を抱いている。案外二十年後も仲良くやってるかもしれません」

「それはないわ。だって私があなたを許さないもの。言ったでしょう、私はあなたを絶対に追放すると。あなたはフランソワのかたきですもの、大嫌いよ」

「存じ上げております」

不穏な会話に侍女達は聞かないふりをしているけれど、私はその光景をただ眩しく感じていた。

今ここには、オーストリアの、ヨーロッパの未来がある。真っ白で、どんな色にも染められる未来が。

それぞれがそれぞれの希望を抱き未来を語るその光景に、私は密かに打ち震える。

――二十年後。オーストリアの覇者はこの中の誰に。

その選択肢の中に私も入っているのだと思うと、燃えるような高揚感が背を駆け登った。

(……なりたい。新たな鷲の子に仕え、ヨーロッパを動かす行政官のトップに)

――ツグミ・オダ=メッテルニヒ。

永遠に続く第二の人生で、バリキャリ宰相目指します!
 
 
END