「今日は素晴らしい記念日だ。私にもうひとつ使命ができたからな。妻を恋に落とすという新しい使命ができた日だ。客人を呼んでパーティーを開くべきだ」
投げやりに言ったクレメンス様を見て、思わず吹き出してしまう。
そして段々とその言葉とキスの意味が心に沁みて、私の笑い顔は幸福の笑みへと変わっていった。
そのとき、壁の向こうから赤ちゃんの元気な泣き声が聞こえてきた。
「あ、マクシミリアン様が泣いてる! 大変、すぐ行かなくちゃ」
慌てて部屋を出ると、すぐ後をクレメンス様もついてきた。
「どうして焦る。赤ん坊は泣くのが仕事だろう。……本当に赤ん坊に慣れていないんだな」
「私、ひとりっ子でしたから。こっちの世界に来ても赤ちゃんと接することなんかなかったし」
再び寝室に戻ると、侍女に囲まれたゾフィー大公妃が泣いているマクシミリアン王子を抱いてあやしていた。
「あら、ツグミ。お話は終わったの?」
クレメンス様と揃って部屋に戻ってきた私を見て、ゾフィー大公妃が声をかける。
私は「はい」と返事をしながらも、元気よく泣く赤ちゃんを前にうろたえるばかりだった。すると。



