「えっ」
まさか、いきなりそんな褒められ方をするなんて、不意打ちすぎて顔が一気に熱くなった。
「きみがアウトサイダーでよかった。新婚だというのに夏季休暇も一緒に過ごさなかったときは頭を抱えたが、我々には果てしない時間があるものな。ハニームーンは二十年後、私が隠居をして暇になってからにしよう」
……もしかして、二十年後に追い落とす宣言した仕返しだろうか。というか、それよりも。
私、てっきり片思いだと思ってたんだけど、もしかして早速両想いの可能性があるのだろうか。いやでも、クレメンス様のことだから何か別の深い考えがあるのかもしれないし。勝手に期待せず、こういうときこそしっかり考えなくては。
「あの、えっと……でも、これって偽装結婚ですよね……?」
緩んでしまいそうな顔を引きしめ、訝しそうにクレメンス様を見つめる。
すると彼は一瞬キョトンとした後、珍しくムスッとした表情を浮かべて私の頬を掴んでいた指に力を籠めた。
「ほう。きみは私に指一本触れさせないと? きみが帰ってきてくれない私邸に用意した夫婦の寝室には永遠に入らないと? 私に甘いキスを贈る気は永遠にないと言うんだな?」
「いひゃい、いひゃい! いひゃいでふ、クレメンフひゃま!」
頬をミチミチとつまむ手を掴んで離させると、クレメンス様は今度はその手で私の顎を掬った。
そして驚く間もないほど素早いキスで唇を塞ぎ、甘く舐ってから顔を放した。



