元社長秘書ですがクビにされたので、異世界でバリキャリ宰相めざします!

 
「きみの可能性を狭める可能性があるから、本当はギリギリまでアウトサイダーであることは黙っておきたかったんだがな。まあ、仕方ない。自分の正体をどう受け入れるかも、きみの生き方の見せどころだ」

私の顔に自然と笑みが浮かぶ。

ナポレオンからアウトサイダーのことを聞いて以来、初めて心から笑えたような気がした。

アウトサイダーは永遠を生きる。ならば私は、クレメンス様が永遠に興味尽きることのない可能性であり続けたい。

隣に並ぶことも、背を向け合うことも、もしかしたら抱き合う日もいつかあるかも知れない。けれどどんなときだって彼の目が私を見つめるように、私は胸を張って私の生き方をしていこうと思う。

「――それで、どうする? 私の胸の内は全て明かしたぞ。きみはこの世界で、どんな正義を選ぶ?」

クレメンス様が再び差し出してきた手を見つめ、私は深く息を吸い込んでから顔を上げた。

「私は……私の気持ちは変わりません。私は私のやり方でヨーロッパを平和に導きます。そしてもう誰も……ハプスブルクの人達が泣かないように。そんな未来のために、私は宰相を目指します」

自分でも驚くくらい心が晴れ晴れとしていた。

あれほど悩んで迷って後悔した気持ちが、一本の糸のようにほどけていくのが分かる。

ああ、そうかと、目が覚めたような気分だった。