母親であるゾフィーは黒髪なのだから、ありえないことではない。けれども、違うのだ。
私が知っているフランツ・ヨーゼフ一世は――金髪だ。
電子辞書に肖像画も乗っていたのだから間違いない。この子は、未来の皇帝フランツ・ヨーゼフ一世ではない……?
驚きで立ち尽くしている私に、ゾフィー大公妃が微笑んで手招きをする。
「ツグミってば。そんなところに立ってないで、もっと近くで見てちょうだい。ほら、可愛いでしょう。私のマックスよ」
「……マックス?」
「ええ、お爺様の名をいただいてマクシミリアンと名付けたの。良い名でしょう?」
「――っ!!」
点と点が繋がって、私は思わず叫びそうになった口を慌てて手で押さえた。
――マクシミリアン。フェルディナント・マクシミリアン・ヨーゼフ・マリア・フォン・ハプスブルク=ロードリンゲン。
本来ならばフランツ・ヨーゼフ一世の後に生まれてくる、ゾフィー大公妃の次男だ。
そして……私のいた世界でも、ライヒシュタット公の子ではないかという憶測が残る人物である。



