元社長秘書ですがクビにされたので、異世界でバリキャリ宰相めざします!

 
特に去年の十一月以降は、夫のカール・フランツ大公はホーフブルクに戻ったというのに、ゾフィー大公妃とライヒシュタット公はシェーンブルンに残っていた。公式行事や公務の際にはゾフィー大公妃はホーフブルクに戻り夫と顔を合わせていたけれど、ライヒシュタット公と過ごした時間に比べればささやかなものだ。

けれど、この時代にDNA検査がある訳でもなく。真実は彼女だけが知ることになるだろう。

きっとそれでも、歴史は変わらず進んでいく。

彼女はフランツ・ヨーゼフ一世という男児を生み、十八年後に念願のオーストリア皇帝の座に座らせるのだ。

その父がたとえ誰であっても。



ゾフィー大公妃は穏やかな環境で過ごしたいとのことから、夏が終わってもシェーンブルン宮殿に残った。

私もそれに付き添ったので、引き続きシェーンブルンで生活することとなった。仕事でウィーンの街に出たりホーフブルクへ行ったりすることもあったけれど、生活の拠点はこの離宮だ。

それは結果的に……クレメンス様と滅多に顔を合わせない日々を過ごすことになる。

……いや、私は大公妃に付き添うことを理由に、クレメンス様をわざと避けていたのかもしれない。

――彼と向き合うことが怖くて。