総督は一度は首を横に振ったけれど、ナポレオンが「五分でいい」と言うと、渋々ながら私の護衛達と共に扉の外に出た。
重い音をたてて扉が閉まったと同時に、ナポレオンが口を開く。
「――あんた、俺と同じ〝アウトサイダー〟だな」
「……アウトサイダー……?」
「余所者……つまり、異なる世界から来た者ってことだ」
ゾワッと、全身の毛穴が開いた気がした。
(まさか――私以外にも異世界から来た人間がいたの……!?)
当然いきなりは信じられないけれど、彼があてずっぽうを言っているようにも思えない。異なる世界から来ただなんて、まともなら出てこない発想だ。
彼は――ナポレオンは確信しているから、それを口にしたのだ。私がここじゃない世界からやってきた、自分と同類だということを。
言葉をなくしたまま目を瞠る私に、彼は口角を上げてククッと皮肉気な笑みを浮かべた。
「その様子じゃ初めてか、同士に会うのは。しかもまだ誰にも〝成り代わって〟ないみたいだな」
「……成り代わ……ってない?」
カラカラに乾いた喉から声を振り絞って尋ねると、ナポレオンはどことなく上機嫌な様子で話し始めた。



