元社長秘書ですがクビにされたので、異世界でバリキャリ宰相めざします!

 
行政官の宿舎に戻ると、私の部屋の前に人影が立っているのが見えた。

その人影は私が歩いてきたのを見つけ、こちらへやって来る。

「ラデツキー将軍……」

「見舞いにきたのだが、もう出歩いても大丈夫なのか?」

「はい。あの……その説は助けてくださってありがとうございました」

馬から落ちた私を助け宿舎まで運んでくれたのはラデツキー将軍だ。あらためてお礼に行かねばと思っていたけれど、彼の方から先にやって来てしまい恐縮する。

それに……緊急事態だったとはいえ彼にも胸を見られてしまったと思うと、恥ずかしくてどんな顔をしていいか分からない。しかも。

「こんなところで立ち話もなんですから、どうぞお入りください。今、お茶を用意します」

部屋に招こうとした私にラデツキー将軍は「いや、みだりに女性の部屋に入る訳にはいかないので、結構」など、思いっきり女扱いしてくるものだから、私はますます意識してしまって妙な汗が噴き出してくるのだった。

結局私とラデツキー将軍は、本宮殿までの遊歩道を歩きながら話した。

「実はまだ少し、あなたをご夫人として扱うべきか行政官として扱うべきか迷っている」

怪我をしている私に気遣っているのか、狭めた歩調で歩きながらラデツキー将軍は言った。