初めてすべてを打ち明けた。自分が本当は二十一世紀の日本からきた人間だということ。そして二度と思い出したくなかった、横領冤罪事件。
「死なずにこの世界にトリップしたことは、神様がもう一度人生をやり直すチャンスをくれたんだと思っています。だから私は今度こそ信頼できるボスに尽くして、秘書として生き直そうと決めました。でもこの世界では女は秘書官になれない。だったら女であることを捨てよう、って。この世界で私は一生男でいるって決めました。私は……ただ、秘書として生きたかったんです」
いっそトリップしたついでに身体も男になっていればよかったと思う。そうすればゲンツさんをこんなに傷つけることなんてなかったのに。
最後にもう一度「ずっと黙っていてごめんなさい」と深く頭を下げると、しばらく沈黙が訪れた。
おそるおそる頭を上げたとき、ゲンツさんは困ったような悩ましい表情で私を見ていた。そして俯くように視線を逸らした後、再びクルリと背を向けてしまった。
「……いきなりそんな話されても、すぐには「はいそうですか」なんて理解できねえよ。もういいから、今日は帰れ。まだ怪我が治った訳じゃねえんだから、無理に動き回るんじゃねえよ」
その声からは、さっきのような拒絶の色は感じられなかった。
もしかしたらタイムトリップの話なんか聞かされて、今は混乱しているだけかもしれない。
けど、少しでも私の気持ちが伝わるといいなと願いながら、私は多彩な花が咲き誇る庭を後にした。



