ゲンツさんは手にしていた剪定鋏を地面に叩きつけると、初めて私の方を振り向いた。
「お前もメッテルニヒも、大事なことはいつだって俺に隠しやがる! 俺はお前らにとってなんなんだよ! 俺は――秘密も打ち明けられないような存在なのかよ!」
苦しそうに叫んだゲンツさんの言葉が突き刺さる。
人一倍仲間思いの彼だからこそ、ずっと真実を教えられなかったことに傷ついたのだ。彼を欺き続けてきた罪の重さに今さら気がつき、罪悪感に潰されそうになる。
「……ゲンツさん、私……」
後悔したって遅い。今となってはもう、どんな償いの言葉も元の信頼を取り戻すことはできないだろう。
だからこそ、すべてを打ち明けようと思った。
私が男になってでも秘書官になりたかった理由。そうしなければこの世界で生きていく意味がなかったことを。
信じてもらえるかは分からない。でも、周りを騙すつもりではなく、一生男として生きていくつもりだったことはどうしても分かって欲しかった。
「私……本当はこの時代の人間じゃないんです」
突拍子もないことを言い出した私に、ゲンツさんは「は?」とあからさまに怪訝な表情を浮かべた。
けれど一生懸命に話し続けるうちに、やがて彼の表情は真剣なものへと変わっていった。



