「ったく、こんな細っこい身体で馬になんて乗るから怪我するんだ。大馬鹿野郎が」
「……申し訳ない。私が側にいながらツグミ殿にこんな怪我を負わせてしまった」
「将軍が悪いんじゃありません。手が掛かるこの馬鹿がいけないんです。いっちょまえ気取って俺から離れた途端これだ、心配ばっか掛けやがって……」
痛みでぼんやりとする頭でそんな会話を聞いていると、扉の開く音が聞こえてまた部屋が騒がしくなった。
「馬から落ちたそうだな。どこを打った」
「胸です。胸骨の辺りを打ったかと」
どうやら医師が来たようだ。ベッドの脇に座り、手の平で私の呼吸を確かめている。
「患部の診察をする。患者の服を脱がせ胸が見えるようにしてくれ」
そう言った医師の言葉に、意識が薄れていきそうになる頭が一瞬で覚めた。
「俺がやります」と言ってゲンツさんの指がテイルコートのボタンにかかったのが分かった。彼はどんどんとボタンを外していき、テイルコートと中に着ていたベスト、そしてシャツの襟元のネッククロスまで外していく。
「駄目……っ、やめてくださ、い……!」
胸に激痛が走るのを耐えながら、必死で訴えた。肩を動かすと洒落にならない痛みで涙が滲んだけれど、それでも無理やりゲンツさんの手を握って止めた。
「駄目……、お願い、脱がさないで……っ」



