「は? 今の訓練見てなかったのかよ、ツグミは。あれが体調不良なやつの指揮に見えるか? 僕は絶好調だよ、心配性さん」
そう言ってライヒシュタット公は笑うけれど、流れる汗は止まっていない。
「それはそうと閣下。皇帝陛下より先の閲兵式のことで言伝を賜っております。一足先に司令部でお待ちいたしておりますので、閣下も身支度を整えられましたらお越しください。身体を冷やさぬよう、ご注意を」
機転を利かせたのだろう、ラデツキー将軍はライヒシュタット公の身体が汗で冷えないようすぐに着替えるように仕向けた。
「分かりました。すぐに向かいます」
軍人に憧れているライヒシュタット公は、偉大な功績を持つラデツキー将軍を尊敬している。私のときとは違い、すぐ指示に従って訓練所内の建物へと向かっていった。
「……陛下や大公妃殿下に、どのようにお伝えするべきでしょう……」
夕刻。アルザー通りの司令部から王宮へ帰る道すがら、私はラデツキー将軍と馬を並べて話した。
あれから司令部に戻ってきたライヒシュタット公は元気そうに振る舞いながら、何度も咳き込んだ。「少し喉の調子が悪いだけだ」と痛々しい強がりを口にしながら。
「お身体も以前より痩せているように見えました。それなのに目だけは爛々と輝いていて……僕は正直、ライヒシュタット公爵をこの先も軍務につけておいていいものかどうか分からないです」



