元社長秘書ですがクビにされたので、異世界でバリキャリ宰相めざします!

 
ライヒシュタット公が過酷な軍事訓練に参加することに、ハッキリ言って不安は拭えない。止めた方が良いのかとも思う。

けれど今ここで彼の楽しみを奪うことが最善ではないことも分かる。

肺結核は命を落とす病だ。今の医療技術で治すことはできないけれど、体力と免疫力の向上で進行を遅らせることぐらいはできるだろう。

(彼の身体を気遣って病人生活を送らせるより、憧れていた軍隊生活を送らせてあげて気力を養わせる方が大事なのかもしれない)

きっと、私だけでなく皇帝陛下や傅育官達もそう考えているのだろう。

「ツグミも軍隊に入りたくなったら僕の軍においで。朝から晩まで僕が直々にしごいてあげるから」

楽しそうに笑うライヒシュタット公の姿は、相変わらず煌めくように美しい。

翼をもがれた鷲の子は、それでもまだ大空を見上げ続けるのだろうか。