私が“内緒で”ゾフィー大公妃のお茶会に呼ばれたのは、年が明けて少し経ってからのことだった。
場所はホーフブルクのオランジェリー。ガラス張りの建物内に真冬でも様々な花や植物が生い茂る、いわゆる温室で、花に囲まれた一角にティーテーブルが用意されていた。
「ここはいつだって温かくて、ティーパーティーにうってつけだわ」
そう言ってゾフィー大公妃は自らの手で紅茶を淹れ、皆に振る舞った。
テーブルに着いているのは、私と主催者のゾフィー大公妃、ライヒシュタット公。それから……軍服を着た快活そうな若者がひとり。
それ以外は人払いをしてオランジェリー内には誰もいない。入口の外に衛兵がふたり立っているだけだ。
その状況から察するに、これがただの呑気なお茶会ではないことぐらい容易く見当がつく。
「紹介するわ、ツグミ。彼はアントン・フォン・プロケシュ=オステン少尉。グラーツの司令部に所属しているの」
そう紹介されたプロケシュ少尉は人のよさそうな笑みを浮かべて、私に片手を差し出す。
「はじめまして、プロケシュ=オステンです。ツグミ宰相秘書官殿のお噂はかねがね。アジアの島国から来られた、とても真面目な方だと聞き及んでおります」



