「ゲンツさんって友達思いですよね。僕、ゲンツさんのそういうところ尊敬してます」
なにかと豪快で少々デリカシーに欠けるところはあるものの、友達や部下を大切に想うゲンツさんの情深さは好きだ。いつだってクールなクレメンス様は、きっとゲンツさんのこういうところに救われている部分もきっとあると思う。
私の言葉を聞いたゲンツさんは一瞬目を大きく見開くと、さっきまでの不満そうな表情をきれいさっぱり消して満面の笑みを浮かべた。
「おいおい、なんだよ急に可愛いこと言いやがって! いいぞ! もっと言え!」
そして腕を伸ばすといつものように私の頭をワシャワシャと撫でてくる。髪をぐしゃぐしゃにされながら私は、褒め過ぎただろうかとちょっと後悔した。
その日の夜。
日付がもうすぐ変わろうかという時刻になって、クレメンス様は公邸に帰ってきた。
自室の窓から彼の乗った馬車が門の前に着いたのを見ていた私は、部屋を出て玄関ポーチへと向かう。
「お帰りなさいませ。遅くまでお疲れ様でした」
「なんだ、まだ起きてたのか」



