この時代は二十一世紀より流産する確率が圧倒的に高いとはいえ、芽生えた命が失われるつらさは同じだ。
祖父母として孫を失った皇帝夫妻の姿はあまりにも痛々しく、私まで涙が溢れそうになってくる。
「……ゾフィー大公妃殿下は……どうなさっていますか」
子を失った彼女が大丈夫か気になって仕方がない。身体への負担も大きいだろうし、何よりどれほど悲しんでいるか想像すると居てもたってもいられなかった。
皇后陛下は私の声を聞いて顔を上げると、「あなたがツグミね」と言ってハンカチで涙を拭いた。
「身体の方はゆっくり休ませれば大丈夫だそうよ。けど、心配なのは心だわ。よかったら会って言葉をかけてあげてちょうだい」
「よろしいのですか?」
「あなたはゾフィーが心を開く数少ない友人だと聞いているわ。どうかあの子の悲しみを少しでも受けとめてあげて」
皇后陛下の言葉を聞いて、クレメンス様も私に向かって頷く。さすがに今ばかりは彼女に会うのを咎めないようだ。
私は一礼をして居間を出ると、侍従の案内でゾフィー大公妃の寝室へと向かった。



