元社長秘書ですがクビにされたので、異世界でバリキャリ宰相めざします!

 
――耳を疑うような悲報が飛び込んできたのは、それから半月後の雨が降る朝のことだった。

「ゾフィー大公妃殿下が流産されました」

早朝から本宮殿に呼び出されたクレメンス様についていった私は、宮殿に入るなり駆けつけてきた侍従の言葉を聞いて頭の中が真っ白になった。

(……どうして? だって、あんなに子供ができたことを喜んでいたのに……)

昨夜舞踏会の途中で腹痛を訴え、急いでホーフブルクに戻り侍医が手を施したけれど駄目だったと侍従は語った。

ショックのあまり震えそうになる脚に力を籠め、居間に向かうクレメンス様のあとを必死に追う。

居間では長椅子に座った皇帝陛下が寄り添って泣いている皇后陛下の肩を抱き、慰めているところだった。

「陛下、参りました」

「来たか、メッテルニヒ。聞いた通り、私の孫は天に召された。可哀想に、一度も母親に抱かれる前にな」

嘆くように語ったフランツ一世陛下の顔は、悲しみに疲弊していた。ゾフィー大公妃の姉でもあり義母でもある皇后陛下の悲しみはさらに深いのだろう、「ああ、可哀想なゾフィー」と繰り返し涙を零し続けている。