元社長秘書ですがクビにされたので、異世界でバリキャリ宰相めざします!

 
正直、意外だと思った。

パルマを治めるマリー・ルイーゼ女王の姿は三年前にヴェローナで見たことがある。会議前の夜会でイギリスの将軍相手にトランプゲームをして少女のようにはしゃいでいた姿だ。

良くも悪くも無邪気そうで、とても政治的辣腕を振るえるような女性には見えなかった……というのが私の本音だ。

どうにも気になった私は実際にパルマをこの目で見にいくことにした。

マントヴァとパルマは近い。馬車で往復一日と掛からないので、数人の護衛だけつけてお忍び状態で視察しにいった。

パルマは人口わずか四万人の小さな公国だ。けれど劇場に図書館、美術学校と新しい公共施設がどんどんと建ち、産院や孤児院が手厚く保護され、驚くほど福祉が充実している。

当然市民は活気づき、建築事業が増えることで失業者も減って、貧困者も他国に比べ圧倒的に少ないように見えた。

市民にも直接話を聞いてみたけれど、誰も彼も口を揃えてパルマ公を「善良で慈悲深い女王様」と褒めたたえる声ばかりだ。

なんだか私はマリー・ルイーゼという女性がよく分からなくなってきた。

無邪気な子供のように見えて国家君主として有能だし、ひとり息子であるライヒシュタット公に滅多に会いにこないことから冷たい女性なのかと思っていたけれど、市民からの評判は真逆だ。

(ダメだ、直接会って言葉を交わしてみないと彼女がどんな人物なのか全然つかめない)