「……小学生の頃のさゆ?」 「それもあるけど。巽も知らない『俺のさゆ』がいるんだよねー」 「……腹立つ」 「はっきり言うねー。俺、結構晃くんのこと好きだわ」 「……男に好かれる趣味ないんだけど」 「俺もそんな趣味ないけど。言うならそうだな――晃くんっていい人だね」 「……それはどう返せばいいの」 「あはは。返さなくてもいいよ。笑い飛ばしてくれれば」 「………」 なんつーか、こいつは摑みづらい。でも、嫌いなタイプじゃない。 「旭」 名前で呼ぶと、ばっとこっちを振り向いた。驚きの顔で。