さゆ、俺と一緒に住んでいることを琴と相馬に黙っていて、二人に相当拗ねられたらしい。


詫びに、これからは全部報告すると約束させられたそうだ。


だから、俺とさゆが本当に付き合っているわけではないと知っている。


そうしたら俺も巽に言わないのはなんか落ち着かなくて、男友達では巽だけには話してある。


その関係もあってか、この五人でいることが多くなった。


「あ、雪村」


今朝は、朝練のなかった巽も一緒に登校していた。


廊下を歩いていると、俺たちの担任の教師に呼び止められた。なんで俺だけ?


「なんですか?」


「あ、みんなもちょうどよかった。今日転校生がいてさ。うちのクラスに入るから、まあよろしくってことを言って置きたくて」


……んで、なんで俺? 心の声が顔に出ていたのか、担任は続けた。


「その生徒が編入試験満点クリアだったから、雪村や司の新たなライバルになるかなーとな」


「はあ」


……俺のライバルとか、さゆだけで十分すぎだし。