「……大事って思ってくれるのは正直嬉しいよ。でも、晃くんを傷つけてまで護ってほしくはない」


……同じとき、晃くん言ってた。


自分は父親にそっくりの容姿と声をしている。だから、いつか自分がああなりそうで怖い、って……。


好きな人が出来て一緒にいるようになっても、その人のことを大事に出来ない自分に、傷つける自分にならないって言いきれない。


だから、好きな人も作らないし、付き合ったりもすることはないんだ、って……。


私がどれほど、晃くんは優しくて周りの人を大事にしているから大丈夫だよって言っても、それは晃くんには届かなかった。


晃くんは好きな人が出来ても、好きな人のために、その人のことを諦めてしまうんじゃないだろうか……。


私は、晃くんに護られてばかりだ。だからせめて、晃くんの負担になりたくない……。


「わかった。じゃあさゆ、俺を助けると思って、俺と付き合ってることにして?」