今まではずっと『雪村』って呼んでたから、私が『晃くん』って呼んだとき、一瞬空気がざわついた。


でも、一番驚いていたのは晃くんだった。


大きく目を見開いて、一瞬固まっていた。


隣の巽はやっぱり何かを見透かしたような表情をしている。巽は千里眼でも持っていると思う。


「さゆ――」


あ、晃くんも呼んだ。


ちょいちょいと手招きされたから傍まで寄ると、がしりと肩を摑まれた。


「こうく――


「ありがと。嬉しい、さゆ」


そのまま首に手を廻され引き寄せられて、晃くんの肩に鼻が激突した。こ、これ以上低くなったらどうしてくれる、この完璧イケメンめ。


じゃない! 立っている私が座っている晃くんに抱き寄せられている格好だから、見た目的に色々と問題を呼びそうな――


「あの、晃くん、これはさすがにっ」


「あ、ごめん。嬉し過ぎてつい……」


許す。