「……小雪さんに頼まれるわけだ」


「晃くん?」


またボソッと言ったのが聞こえなくて、振り仰ぐ。晃くんは「なんでもない」と軽く首を横に振った。


「ってか、晃くんこそ人がいるとこであんな話しないでよ」


「あんな話?」


「ど、同衾、とか。中一んときに一緒に縁側で寝ちゃったってだけでしょ?」


「状況だけ見ればそうだろ」


「晃くんファンの女子に知られたら私シメられしかしないから。女子の間ってほんと怖いからね? もう男に生まれて来たかったわ! ってくらい陰湿だから」


「……男の方は、それはそれで暴力とかあるよ?」


「う……それも怖いな」


「どっちもどっち」


「ですな」


「でも大丈夫だよ。さゆのことは俺が護るから」