「うん。バイトしてる理由は食い扶持稼ぐためだけど、留学費を貯める目的もある」
「……すごいね、相馬さん……」
お? なんか青山の声のトーンがいつもと違うような?
「旭くんはやりたいことあるの?」
兄ちゃんが、少し身を乗り出して訊いて来た。
「いえ……俺、勉強することは嫌いじゃないんですけど、これやりたいとかこれになりたいとかなくて……」
困ったような言い方をする青山。あー。なんか、すぐに納得できちまった。
青山は勉強万能だからこそ、専門分野を選べないんだろう。
「そうなんだ。いいじゃん、選び放題で」
兄ちゃんはあっけらかんと答える。我が兄ながら楽天家だな。
「凛なんて小学校高学年になってもいじめっ子たちに、『目には目をぉおおおお!』とか言って突撃して行ってたからね。今も小学生のまんまでしょ?」
「兄貴!」
なんつー話してんだ! しかもそれ、
「兄ちゃんがいじめられてなかったらあたしもそんな真似してねーんだよ! 何大人しく殴られてたんだよ!」
あたしが助けに入ったのは、兄ちゃんじゃないか。



