「さゆおはよー!」


朝からテンションの高い私のお兄ちゃん。


人前でそう呼ぶ気はないし、むしろ旭に向かってそう呼びかけるつもりもないけど、旭の存在する場所が、少し違う位置になった気がする。


「おはよう」


「昨日は晃とキスとかした?」


「⁉ あ、あさ、なに、いっ」


「え? 昨日言っただろ? いじりまくってやるからって」


何言ってんだ? って顔で言う旭。


前言撤回! 旭は私で遊びたいだけだ! お兄ちゃんなんて思ってもやらん!


「旭、うるさい」


旭が大声で喋っている所為で、クラスの視線は私と晃くんに集まっている。


「晃―。昨日は俺が二人きりにしてやったんだろ? 進捗くらい教えてくれてもいいんじゃん?」


「そういう話したいんなら、あそこで真赤になってるバカップルいじってる方が面白いぞ」