『さ、さゆにはショックって言うか、喜べるだけじゃないかもしれないんだけど……お母さん、前々から親しくしてる方がいて……け、結婚、しようと思ってるの。その人が、さゆのお父さんになることになると思うの……。…………………。こ、晃くん? さゆどうしてる?』
「固まってます」
石のようだ。
「さゆ。さーゆ」
顔の前で手を振ると、さゆははっとしたように何度も瞬いた。
「あ、うん、聞いてます……。お母さん、その人のこと、好きなの?」
さゆの声は落ち着いている。
さゆの膝の上でそろえられている両手に、自分の手を重ねた。
さゆがこっちを見たから、大丈夫、って、口の形だけで伝えた。
『うん……とっても』
「なら、いいと思う」
『さゆ……』
「あのね? 私、晃くんと二人で暮らしてて、ずっと幸せだった。晃くんとの間は、お母さんたちが繋いでくれた縁だと思ってる。だから……私はもう十分過ぎるくらい幸せだから、お母さんも自分の幸せ、大事にしてあげて?」



