「幸せなんて他人がくれるモンじゃないだろ。そりゃあ、誰かと一緒――特に好きな奴と一緒にいたら幸せだって感じるだろうけど、それは咲雪が好きな人の隣にいる権利を自分の力で得たからだ。

だから、雪村と付き合っていて幸せだって咲雪が感じるのは、咲雪が頑張ったからなんだよ。頑張って、雪村を好きでいたからなんだよ。どういう経緯で付き合ったかまでは知らないけど、咲雪は努力の天才だぞ?」


「………」


「咲雪は頭いいけど、雪村と違って天才型じゃないんだよ。勉強したらその分だけ身になる、ごく普通のタイプ。中学んときからしか知らないけど、咲雪はいつも頑張ってたよ」


……俺も、知っているよ。俺に張り合おうと、いつもいつも、他人の何倍も頑張っていた。


「……さゆはいい彼氏だけじゃなくて、いい友達も持ったねー」


「当り前だ。咲雪の友達だぞ?」


茶化すつもりだったんだけど、相馬さんからは真面目な答えが返って来た。


「んで、青山の友達でもある」


「―――……」


うわ、それ、すっごいくる……。


「じゃあ今度遊びにでも行くか?」


相馬さんが、ぱっと気のいい笑顔で見上げて来た。