琴ちゃんってそんなレベルだったの……?


「あ、知っててくれたんだ。嬉しいなー。で? ねえ、どうする? 琴の大事な友達怖がらせてくれた『お礼』、しちゃってもいいのかな?」


「な――友達だからって、あんたは関係ないでしょ! あたしらが用あるのは雪村くんに手ぇ出した司で――」


「じゃあ俺を殴れよ」


涼やかに響いたのは、晃くんの声だった。


私たちを囲んでいいた女子、みんなから喉を引きつらせたような音を聞いた気がする。


いつも通りダウナーな感じの晃くんだけど、……お、怒ってる……?


「ゆ、雪村く……ちがっ」


「別に違っててもいい。さゆは俺だから、さゆを殴りたいんなら俺を殴れって言ってんだよ」


「わかった」


何ばかなこと――! って、私が怒る前に、一人が答えて晃くんの方へツカツカ歩き出した。


そのまま、左拳で晃くんの右頬を殴った。