……やっぱり来たか。


「私たちもね、司さんが雪村くんと付き合うのに反対、ってわけじゃないんだ。ただ、みんなの雪村くんが一人のものになるのが許せないって言うか……女同士だからそう腕っぷしに差もないでしょ? 一発殴られるくらいの覚悟、あるよね?」


放課後、晃くんの周りの女子の中でも、カゲキな人たちに校舎裏に拉致されてしまった。


笑顔で言うけどめっちゃどす黒い笑顔。十人はいるかな……。


「……いいですよ、一発殴って認めてもらえるのなら」


「――ああ、そう。じゃあ雪村くんに愛想つかされるくらい殴っても文句ないんだね?――」


「好きな人を――自分の顔と天秤にかけられません」


「―――」


「顔カタチが変わって愛想つかされるなら、私がその程度、晃くんを好きだったってことでしかないんだと思います。みなさんはずっと晃くんのこと、好きだったんですよね? なら、私が請けるべきものもあると思うから」


「――――っ」


「おーっと、それ、あたしらも混ぜてもらおうか」


「殴り合いなら琴も参戦するー」


軽い調子で現れたのは、凛ちゃんと琴ちゃんだった。