「仕事? 興味ないわけじゃないけど……どうしたの?」


「会社、今人手探してるから、もしさゆがの気が向けば、俺みたいなバイト感覚でやってみるのもいいんじゃないかって」


「それは……すごい魅力的なお話……」


「やってみたいことはやってみたいんだ?」


「うん……晃くんがお手伝いしてるの、いつもカッコいいなーって見てたから。……でも、今は無理かな。晃くんみたいに器用じゃないから、まだ成績を維持するだけで精一杯。お母さんとは大学までは進学するって約束してるから、大学に入って、そのときも募集してたら……って感じかな」


正直、仕事をするってこと自体にも憧れはあるし、晃くんみたいに自分での稼ぎがあるっていいなって思う。


高校はバイト禁止じゃないけど、お母さんと、高校と大学へは行くって約束している。


大学も公立――出来たら国立を狙いたいから、成績も落とせない。その間でバイトをするのは難しい……。


お母さんとは、バイトよりも学業優先するとも約束しているし。


「そっか。さゆが一緒ならもっと楽しくなると思ったんだけど――」


たぶん、晃くんとしては何気なく言った言葉だと思う。でも、私のスタートボタンを押すには大きすぎるショックだった。


「だ、大学! 大学行ったら絶対お母さんたちの会社のバイトとして雇ってもらう!」