外見を気にする必要はない。
ああ、そっか。
そうだよな。
もういいんだよな、俺は。だって親父と暮らしてた時は毎日のようにしてたレンタル彼氏っていう仕事からも、美桜に強要されたホストからも開放されたんだから。
「はぁ。そもそもホストだからって絶対に外見を気にしなきゃいけない訳でもないと思うけどな。ホストが全員超イケメンなわけでもないだろうし。お前はアレだろ。指名を増やすために枕営業とかもしてたから、傷を隠すのが当たり前になったんだろ。それ、めっちゃよくないからな?」
翔太さんが俺の頭に手を置いて、ため息をつく。
俺は何も言わず、翔太さんを見た。
「……傷があるのなんて気にするな。隠したいことがあるやつなんて、世界中のどこにでもいんだよ」
「……世界中のどこにでも」
小さな声で、翔太さんの言葉を繰り返す。
「そうですよ!! 俺らの他にも沢山います!そいつらが全員恋人がいないなんてことはありえないんですから、ありのままの紅葉さんを好きになってくれる人も、いつか必ず現れますよ」
光輝が楽しそうに笑って、当然だとでもいわんばかりに自信満々にいう。
「……そうだといいな」
俺は作り笑いをして、光輝の意見に同意した。
「あ、もしかしてどうせ現れないって思ってますか? 絶対に現れますよ。俺が保証します!」
光輝が声を上げて言う。
お前に保証なんかされてもしょうがない。好きになってくれる人なんて現れるわけない。
そう思う自分がいる一方で、もしかしたらって期待する自分もいた。
……なんでこいつは、俺の想いをこんなにも簡単にいい方向に持っていってしまうんだろう。
本当に嫌になる。どうせ期待したところで、意味なんかないのに。
でも、もしかしたら……。
どうせ未来なんて、誰にも分からない。
それなら少しくらいいい方向に考えるのも、悪くないのかもしれない。



