「どんなに毒親でもとことん悲観的なお前の考えを何一つ否定しなかったから、お前はそいつが好きなんだろ。……お前は結局、逃げていいよって、幸せになろうとしなくていいよっていわれたいだけじゃねぇか」
――ふざけんな。
俺は翔太さんの胸ぐらを掴んだ。
「……何もかも分かるみたいに言わないでください。俺がどんなことを想って、こんなふうになったと思ってるんですか」
「やっぱり否定はしないんだな?」
翔太さんは、俺の腕をいともたやすく振りほどいた。
俺が怪我をしているからか、翔太さんは随分と優しい手つきで、腕を振りほどいた。
――完全に舐められている。すげぇ癪に障る。
「うるさい!あんたに何がわかるんだよ!!」
俺はがなり声で叫んだ。
「ハッ。わかんねぇよ。分かりたくもねぇよ。いつまでも殻に閉じこもってるクソガキの気持ちなんて、微塵も分かりたくねぇ。お前は自分が嫌いなんだろ。自分のことが嫌いだから、他人も自分なんか好きになってくれるわけないって想ってんだろ。そう想いこんで、世界の暖かさを理解しようともしなければ、光輝がどれだけお前を好いてんのかも考えようともしねぇ」
翔太さんは叫んでいる俺を見て、鼻で笑った。
「光輝が俺のことを想ってることくらい、わかってます」
「分かってねぇんだよ。お前は光輝が今にも泣きそうなのも分かってない」
翔太さんが笑いながら、光輝を見る。
「しょっ、翔太さん、何言って……」
そう言う光輝の瞳から、涙がこぼれおちた。
「こ、光輝」
光輝は狼狽えている俺の声を聞いて、慌てて涙を拭った。
「ほら。分かってねぇじゃねぇか。そりゃあ泣きたくもなるよなぁ。大切な奴が、こんなに自分のことを蔑ろにしてたら。妖斗だってそうだ。お前は妖斗が金を渡されてすげぇ戸惑ってたのに、そんなのもお構い無しで逃げろって言った」
「それは妖斗を逃がすにはそうするしかないと思ったからで、別にそんなつもりは「そうするしかないと思ったんじゃなくて、それが最善だと思ったんだろ。"毒親と納得するまで話をして、お前が毒親も同意の上でホストをやめて、妖斗と一緒に逃げる"のが最善だったのに、お前はそう考えなかった。お前はとことん自分を蔑ろにしてる」



