「紗奈……ごめん」
病院を出て直ぐに、紗奈の家に行った。
「……なにが?」
紗奈は、不思議そうに首を傾げた。
「……子供できなかったの俺のせいだった。本当にごめん。俺の病気のせいだ」
「何の病気なの?」
「無精子症らしい」
「えっ、なんで?」
「……虐待のストレスとか、外食ばっかしてたのが原因かも。あと煙草?明確な原因はわかんないって言われたけど」
「……一生治んないの?」
「……いや、手術受ければ治るらしい。でも、俺は親父と暮らしてる限り受けられない」
自分で言ってて虚しくなってきた。
本当に何もかも俺は親に拘束されている。
「……ちゃんと説明して、お願いできないの?」
「……ハッ、お願い聞いてくれるような奴だったら、俺そもそもレンタル彼氏なんてやってねぇよ」
「陽太」
「……ごめんな。せっかく紗奈、俺のために頑張ってくれたのに」
俺はそれから生きてるのが煩わしくなって、自暴自棄になった。
レンタル彼氏の仕事を無断で休んで、どっかで酒飲んだり煙草吸ったりしながら夜を明かす。
家には帰らなかった。帰るのが嫌すぎて。
あいつのせいでこれからの人生が一生お先真っ暗だなんて、認めたくなかった。



