「じゃあ、渉くんのままでいいよね」


「も、もちろんだ!」


「あれれ? 噛んでるけど、そんなに嬉しいの?」



名前呼んだだけなのに、可愛いなこの人。


歩夢ほどじゃないけど頰が少しだけ赤い。


微笑ましくなりながらそう言うと、渉くんはバツ悪そうに俯いてしまった。



ああ、類は友を呼ぶというのはこういうことだ。


……ほんっっとうに分かりやすっ。



新たな発見にニタニタしていると、すぐ近くで私を呼ぶ声が聞こえた。



「……歩夢?」



そして気づいたら、後ろから抱きしめられ、彼の腕の中にすっぽりと入ってしまった。


見上げると、歩夢が私を見ろしてる。


必然的に目が合った私たちは、気まずくなって視線を逸らしてしまった。



「……ここ学校。しかも渉くんの前」


遠回しに離してほしいと訴えるが、逆に強く抱きしめる。