「んー、じゃあ俺の漫画読む?」
「漫画?」
「妹が少女漫画が趣味なんだ。俺様とかドSがタイプとかで集めてるんだ」
「気持ちはありがたいんだけど、それって男子にしか参考にできないんじゃ……?」
漫画、か……果たして妄想の詰め合わせを現実で使用しても良いものなのか。
漫画はあまり好んで読まないから、どんなものか気になる一方、新しい一歩を踏み出すことに対して躊躇してしまう。
「そーだよな……あ! でもよ、ドSのセリフだけ女言葉に変えてみたら使えるんじゃねーか?」
「それだ……!」
ナイスアイデア、渉くん!
よし、これで王子様の嫌がる顔が見れる!
「ありがとう、渉くん」
「お、おう……志村さんがそう言うの嬉しいな。
俺の名前も悪くはねえな」
「あ、ごめん名字が良かった?」
「滅相もないです」
第一、あなたの名字は知らないんだけど。
言わないでおこう。



