「噂で聞いた。沙也加は告白したら即刻振る人だって。俺も同じですぐ振られるんだと思ってたからな」
「歩夢……」
かすかに不安な、畏れている声音。
彼の裏側が見えた気がして、今の態度のまま彼と向き合ってはいけないのだと気づく。
「実は……恋愛なんてする予定はなかったの。
ほら、こんな性格だしそんな自分に満足してるし。
だから正直今でも……どうすればいいのかわからないし戸惑ってる」
「沙也加……」
学校で嫌われる人種だっていうことはわかっていても、私は今の生活に満足していて。
対人関係を築くことは不必要だった。
「確かにね、告白はされたことはある。でも、それは性格を見てとかじゃなくて、一目惚れとか……私の上辺で好きになった人たちだったから、心に響かなかったし速攻で断れた」
知らない人からいきなり好きだと言われても、正直何とも思わない。
むしろやめてほしいとまで思ってしまう。
「俺もそうだな。表の性格を好きって言われてもあんまり響かねーな」
それはそうとしか言えないでしょ。
「自己中な王子様が好きです!」という告白をする女子は歩夢が裏の性格を見せない限り現れないんだから。



