王子様も甘いものは私ほどではないが、好きではないらしく、小さなケーキを4つくらい食べた後はひたすらパスタを食べまくっていた。
「……甘っ」
流石にフルーツタルトも飽きてきたので、チョコレートケーキを挑戦してみたものの、あまりの甘さに顔をしかめる。
ここがもしトイレだったら、下品な行為をしかねない。
「今までバレンタインどう過ごしてたんだよ」
「バレンタインは貰わないようにしてる。
それかお母さんにあげる」
「お母さん可哀想だな」
「良いのよ。私と違ってチョコ大好き人間だから」
普通よ、普通を意識しながら話すのよ。
王子様に惑わされないためにも、何とも思ってないフリをしなければ……。
王子様の言葉で今現在もドキドキしているのは事実だが、私の性格上それを顔に出すのは好ましくない。
「じゃあ、余ったケーキちょーだい」
「……お願いします」
結局ふた口しか食べれなかったチョコレートケーキを歩夢に渡すと、フォークでそれを口に入れた。
待って、何も考えずにやってたけど、これってもしかして……



