「睨んでなかったら何なのよ」



こっちは全力で睨んでやってんのに、王子様は片手で口元を覆って、黙り込んでる。



「だから、好きな子の上目遣いはヤベーなっていう話」


「……サラッと言わないでくれる?
心臓に悪いんだけど」


「ドキってしてくれたんだ。ちょっとは脈あるかな」



逆に問いたい。


国宝級のイケメンに、好きな子やら惚れたやら……そんな言葉を言われてドキっとしない人はこの世にいるのか。



「そりゃあ……するわよ」


「じゃあ、全力でお前を惚れさせるから覚悟しとけよ」



ちょっと悪心が働いた笑み。


それすらも絵になって、カッコいいんだからイケメンってやつは罪な存在だ。



だけど、惚れたりなんか絶対しないんだから。


こんな簡単に奴に呑まれてたまるか……!