「甘いものは好きなの?」
鞄を椅子の下に置きながら、尋ねた。
「俺はそこまで好きじゃねえな」
「じゃあ、なんでわざわざ……」
「……喜ぶ顔見たかったから」
歩夢は視線を逸らして、ふてくされたように言った。
心なしか頰が少しだけ赤くなっている。
……歩夢は本気で私のことを?
どこか信じられない気持ちが大きくて受け入れられなかったけど。
この表情を見て、私はドキドキせずにはいられなかった。
「だけど、好きなものとか全然分かんなくて。
渉が女子はみんな甘いもの好きだって言ってたから、じゃあ今日はここにしよう……ってなんか恥ずいな」
「……っ」
彼が本気なのはわかった。
私の性格を知った上での好意だというなら、私もそれに真剣に考えていかなければ……。



