「……ここ? 行きたいところって」
「ああ、女子って甘いの好きなんだろ?」
「……ええ、そうね」
強引に手を引かれ着いた場所は、今の女子高生に大流行のスイーツバイキング。
歩夢はどうやら予約までしてくれたようだが……
ごめん、甘いもの大嫌いなんだ。
コーヒーだってブラックだし、日頃のお菓子はせんべいとか、スナック菓子のみだ。
誕生日だって、唯一食べられるフルーツタルトにろうそく刺してるし……。
これは言うべき? それとも厚意に甘えるべき?
せっかく予約までしてくれたのに、責めるような行為は気がひけるし、あまりやりたくないのだが。
「星本様ですね、どうぞこちらへ」
これはもう食べるしかない……!
腹を括って、王子様の前の席に座った。



