そうだ。
彼が嫌がってるファンクラブを撲滅させたじゃない。十分な対価は払ったはずよ。
「俺、そんなの頼んだ覚えないんだけど」
「それは……そうだけど」
直接的には言ってないけども、顔に思いっきり書いてあったじゃない!
屁理屈をどう返そうを考えていると、
「だからさ、土曜日駅前10時」
「え……?」
つまりはデートってやつに誘われる始末に。
ダメよ、沙也加。簡単に流れに乗るんじゃない。
流されてる感じがしてとても気にくわない。
「確かにテストの件はありがたいと思ってるわ。
だけど、これはこれ、あれはあれでしょう?」
「ありがたいなら、1日付き合ってくれるよな?
1日一緒にいるだけでいいんだぞ? 楽勝じゃねーか」
「……わかった。1日だけよ」
悔しい気持ちを抱えながらも、渋々頷いた私は今に至るわけだが……
歩夢は裏の性格を加えて、新たに豹変してしまったのだ。
こんなの聞いてない……!



