「歩夢ってドM?」
「ドMじゃないから。
けど……キャパオーバーみたいだから、今はこのくらいにしておくよ。またね」
立ち尽くした私を見て目を細めて笑うと、体育館の中へと入ってしまった。
「おい、歩夢! 待って!」
私と同様に放心した渉くんは我に返って、慌てて歩夢の後を追った。
そうしてしばらくしていると、休み時間を終えるチャイムが鳴って、私は教室に戻ったのだ。
「……まじか」
歩夢は私の弱みを握りたいって言ってなかったっけ……?
彼だけは絶対に私のことを好きにならないと思ってた、のに……。
ちょっと待って。
どうしてこうなった?