咄嗟に目を瞑り、痛みを待ったその時。
「沙也加!」
慣れた声が後ろから聞こえ、会長が手を止めたのがわかった。
もう、誰のせいでこうなってるんだと責める気持ちは多少はあるけども。
助けに来てくれたということが嬉しくて、目を閉じたまま微笑んでしまった。
これだから、あなたは王子様って言われるんだよ。
「ほ、ほほほ星本くん、どうしてここに!?」
「次体育だから向かおうとしたら小鳥遊さんと沙也加の声が聞こえたから、思わずね」
あ、そっかここは体育館前。
今の体育は体育館でバレボールだし、王子様が来てもおかしくない。
「それに星本くん、志村さんのこと名前で……っ」
「ん? ああ、沙也加とは仲が良いんだ」
「……私の方がずっと完璧で、一緒にいたのに、どうして私が名字で呼ばれてるのよ!」
会長は涙をぽろぽろ流しながら、私を鋭く睨みつけ言い放った。



