あいつは努力の塊よ。
才能や天性に恵まれた王子様じゃない。
「あいつは星本歩夢。王子様でも神様でもない。
ただの男子高校生よ」
「そんなの当たり前、でしょ……」
会長の声は消えかけていて、とても弱々しかった。
「まあ、確かに頭は良いよね。王子様って言われる理由もわからなくない。だけどさ、毎回学年1位ってさ……どれだけの時間を費やしてきたんだろうね」
きっと私では想像できないくらい、膨大な時間なんだろう。
どうしてそこまで頑張れるんだろう。
想像の範疇じゃないけど、考えるなら2つ。
ひとつは勉強が好きでやっている。
だけど王子様の性格上、勉強好きには見えないというか……そうは思えない。
だったらきっと、勉強を通じて大切なものを手に入れるため。



