嘘でしょ……。


今ここが閑静な場ではなかったら、思わずそう言ってしまうところだった。



だって予想したことと反対だったんだから。



丸が少なくて、間違ったところがむしろ多い。


だけど、しっかりと赤で"この場合はこの公式!"とか解答までの過程を書かれてあった。



そうだよ。


この人は学年1位の成績優秀者。


じゃなきゃ、今回みたいに先生に頼まれたりしない。



パーフェクトな王子様という呼び名もあって、私は王子様のことを偏見で見ていた部分があった。


今みたいに、頭いいのは生まれ持った才能だ、とか決めつけたり……。



逆じゃん、全然違うじゃん。



パーフェクトと呼ばれるってことは、それだけの努力を積み重ねてきたということだ。


この人は猫被りで、本当の性格はわがままで器小さくて、冷徹で毒舌で……。


だけど、彼の新たな一面を見てしまった以上、私は今すぐに謝りたかった。