まさにパーフェクトプリンスだ。


その王子様の名を……



「星本 歩夢(ほしもと あゆむ)」



私は放課後の体育館裏で静かに呟いた。



なぜ彼の名前を呟いたかというと、


今、目の前に本物の星本歩夢がいるからだ。



相変わらず綺麗な顔のことで。


ずっと飽きずに見られる顔とはこういうことなのかもしれない。



おまけにクラスメイトの美少女もいる。



放課後の体育館裏に男女ふたりきり。



これって、もしや……告白?



何だか、見てはいけないものを見た気がする。



というか、こんなベタな告白シーンってある?


と心で文句を言いつつも、次の行動を考えた。



告白現場なんて滅多に見かけないから覗き見したい気持ちは山々だが



……ここは急いで戻ろう。



「……!」



しかし、いざ足を踏み込んだら、雑草の踏みつける音が辺りに響いてしまった。



嘘でしょ、これじゃ戻れないじゃない。