「「連絡先」」



ふたりで声が重なって、そのことにお互い笑いあった。


これで歩夢と連絡とれる。



「弱みを握っただけなのに、こうなるとは思わなかった」


「奇遇だな。俺も同じこと思ってた」



もう昨日とは違う関係。


"彼氏"と"彼女"


くすぐったい気持ちにはなるけれど、とても心が満たされるんだから。



世の中一体何が起こるかわからない。



「じゃあ、改めてよろしくね」


「おう、こちらこそ」



でも、隣には私だけの王子様がいるから。



「好きだよ、じゃあね」



それだけ言い残して家に入った。


だってあいつの反応は目に見えるんだから。



「ほんと、可愛すぎる……」



私の弱みは王子様。


だけど、それは私の強みでもある。





  『王子様の弱みを握っただけなのに。』Fin.