「……あのさ、こんな私だけど、本当にいいの?」


「そんなの今更だろ?」



おどけたように笑う歩夢は本当に頼もしかった。



「俺はお前が好き。お前は俺が好き。
今はそれでいいだろ?」


「……うん」



こういうところが好きだから。


わざわざ理由をつけないところが逆に王子様の想いのような気がして、私は嬉しかった。


だって、私そのものが好きだって言われるような気がしたから。



「俺も多分めんどくさいし、そこはお互い様だ。
今だって、沙也加をめちゃくちゃにしたいし、沙也加を誰もいないところに閉じこめたいとか思ってる」


「……うん、そっか」


「引くなよ」



こんな人だけど、優しいところもあるし、ちゃんと好きなんだなと改めて気づいた。