王子様の弱みを握っただけなのに。



本当、あなたは王子様のようだって言いたいのにどこか違うんだから。



「歩夢」



私は人前にも関わらず、歩夢の袖を引っ張って、頰に触れるだけのキスをした。



「……っ! え……」


「あなたには完敗しちゃった」


「沙也加……?」



目の前の王子様は突然のことに、感情が追いつけないようだ。


最初は弱みを握っただけだったのに。


向こうだって私の弱みを探し出そうって張り合ってたのに。


お互いが好きになるなんて誰が想像しただろう。



「……好きよ」



タイミングなんか必要なくて、自然と溢れてしまうくらいあなたへの想いは大きくて。



イルミネーションで告白しようって決めたのに、


優雅にディナーをしようって思ったのに、


もう本当に順序がぐちゃぐちゃだわ。



だけど、あなたには負けてられない。